肝臓病の話2 「B型、C型肝炎とは?」

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B型肝炎とは?

B型肝炎ウイルスの感染によって発症します。性行為などでB型肝炎ウイルスに感染すると、急性肝炎が発病しますが、その多くは数ヶ月で治癒し、慢性肝炎になることはきわめて稀です。

これに対して、出産時にB型肝炎のお母さんから感染した子供の場合には、保菌者(キャリアー)となり、一部は慢性肝炎となってしまいます。現在(1986年以降)ではワクチンが開発されておりますので、出産時にお母さんから子供にウイルスがうつることはほとんどありません。

B型肝炎のお母さんから生まれた子供は、産道を通る時に頭などに傷ができ、そこからお母さんの血液を介してB型肝炎ウイルスが感染するのです。子供にはウイルスを攻撃するだけの免疫力がまだ備わっていないため、B型肝炎ウイルスは簡単に肝臓に住み着いてしまいます。

ところが、身体が成長し、免疫力が備わってくると、肝臓の中に住んでいるウイルスを攻撃し始めるのです。こうすると「肝炎」が起こり、肝機能が変動します。そして、B型肝炎の保菌者(キャリアー)の約80%~90%の人は、ウイルスの力が弱まって、あまり症状もなく、肝機能も安定した「無症候性保菌者(キャリアー)」となりますが、残りの約10%~20%の人は「B型慢性肝炎」となります。

B型慢性肝炎になると、肝臓に炎症が起こり、次第に肝臓の細胞が破壊されていくため、10年~20年かけて、次第に慢性肝炎から肝硬変へ進行する場合があります。

さらに肝硬変に進行した患者では、その約半数に肝臓癌が発生します。また無症候性保菌者の場合にも、完全に肝臓からウイルスが消えてしまうわけではないので、一部の患者では、再び肝機能が悪化する事があります。慢性肝炎でも、無症候性保菌者でも、ほとんど症状はありませんので、血液検査で肝機能を調べたり、B型肝炎ウイルスの検査を行わないと診断はできません。

慢性肝炎と診断された場合には、定期的な血液検査、画像診断(超音波やCT)と治療が必要となります。また無症候性保菌者でも、年に1~2回の検査をしておいたほうが無難です。

C型肝炎とは?

C型肝炎は輸血、血液製剤、体液などでC型肝炎ウイルスに感染して起こる病気です。

現在では血液中のC型肝炎ウイルスの有無が確認できるようになったため、輸血や血液製剤などにウイルスが混入することを防ぐことができるようになり、新たにC型肝炎に感染する機会は少なくなっています。

またB型肝炎に比べると、性交渉や母子感染による感染は極めて低率です。しかし、すでにC型肝炎ウイルスに感染している人は、現在日本では約150万人~200万人いると推定されています。C型肝炎は、慢性化しやすい肝炎で、C型肝炎ウイルスに感染すると、急性肝炎を発病します。

しかし、症状は軽いため、急性C型肝炎にかかったことに気づかない人が多くいます。急性肝炎の約20-40%の人は自然に治癒しますが、残りの人はウイルスが肝臓に住み着いてしまい、持続感染を起こします。その中の一部の人は無症候性保菌者として、ほとんど肝機能も変動せずに経過しますが、大多数の人は5年~15年かけて「C型慢性肝炎」となります。

慢性肝炎となると、自然に治癒することはほとんどありません。慢性肝炎では、肝臓の細胞が徐々に破壊され、30~40%の人は約20年~25年程度で「肝硬変」に進展します。さらに肝硬変になると、その患者の約60~80%の人が5年~10年で「肝臓癌」を発病します。

慢性肝炎の状態ではほとんど症状がありませんが、現在C型肝炎にかかっているかどうかは、血液検査で簡単にわかります。慢性C型肝炎と診断された場合には、定期的な血液検査、画像検査(超音波、CT)により肝臓の状態を調べるとともに治療が必要となります。

またC型肝炎には数種類のウイルスのタイプがあり、ウイルスのタイプやウイルス量によっては、インターフェロンという注射を6ヶ月から1年続けることで完全に治癒することができます。

ウイルス性慢性肝炎の治療

B型肝炎でもC型肝炎でも直接ウイルスの増殖を抑えて完全治癒を目標とする治療と、肝炎を沈静化して肝機能の悪化を防ぎ、肝硬変への進展を抑制する方法があります。どちらの方法が良いかは、患者さんの年齢や健康状態、肝臓病の進展の程度、ウイルスの量などで決定します。

B型肝炎ではインターフェロンやラミブジンという抗ウイルス剤によってウイルスの増殖を抑える方法が行われますが長期的に治療する必要があります。またすでにこれらの方法で効果が無かった患者さんや、これらの方法を希望しない患者さん、あるいはこれらの治療法が出来ない患者さんには肝臓を保護し、進展を抑えるために強力ミノファーゲンCという注射(週3回程度)やウルソ、漢方薬などを使用します。

C型肝炎ではウイルスのタイプやウイルスの量、肝臓病の進展の程度によっては完全に治癒できる可能性があります。しかしこれにはインターフェロンという注射を最低6ヶ月~1年間続ける必要があり、場合によってはリバビリンという抗ウイルス剤も併用します。

インターフェロンで効果が無かった患者や、希望しない患者、出来ない患者はB型肝炎と同様、強力ミノファーゲンCという注射、ウルソや漢方薬などで治療します。いずれも気長に長期に判って治療を受け、定期的に血液検査で肝機能を調べるとともに、数ヶ月に1回は超音波検査やCT検査で肝臓病の進展や、肝臓癌の発生の有無を調べる必要があります。

文責:大畑 充

カテゴリー: 肝臓のお話し   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

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