1.睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは?:
睡眠中に無呼吸状態(10秒以上の呼吸が停止すること)が1時間あたり5回以上繰り返される病気で、いびきや昼間の眠気、熟睡感がない、起床時の頭痛などの症状を伴います。SASは生活習慣病と密接に関係しており、放置すると心疾患や脳血管疾患などの危険性が高くなり、生命に危険が及ぶことがあります。人口の2~3%程度存在すると言われ、稀な病気ではありません。
2.睡眠時無呼吸症候群の症状
①睡眠中の呼吸停止、夜間の覚醒、いびき、熟眠感の欠如
②日中の強い眠気、集中力の欠如
③起床時の頭痛、インポテンツ など
3.睡眠時無呼吸症候群の原因
①肥満者に多い(70~80%)が、痩せている方でも起こる。
②舌の付け根や軟口蓋が、気道に落ち込んだり、首の周囲に脂肪が付いたり
アデノイドや扁桃肥大など。
③顔が長く顎が小さい、顎が背中の方へ移動している、首が短いなど。
4.睡眠時無呼吸症候群の診断
①おおきなイビキ、起床時の頭痛、夜間の呼吸停止、日中に強い眠気などの症状があって、
②呼吸が10秒以上止まっている、または呼吸が止まらなくても呼吸の大きさが著しく低下
している状態(AHI (Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数))が7時間睡眠中に30回以上、あるいは1時間当たり5回以上ある場合
5.睡眠時無呼吸症候群の検査
終夜睡眠ポリグラフにより、1時間あたりの無呼吸・低呼吸を調べて、診断・重症度を評価する。
6.睡眠時無呼吸症候群の治療
1)生活習慣の改善
①減量 ②アルコールの節酒 ③精神安定剤・睡眠導入剤の制限 ④禁煙
2)積極的治療
①軽症~中等症⇒スリープスプリント(マウスピース):下あごを前方に移
動させ、舌根沈下による閉塞を軽くする。これにより、呼吸がしやすく
なり、いびきも少なくなる。
②中等症~重症⇒CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法(nCPAP:nasal
continous positive airway pressure):鼻に装着したマスクから空気を送
りこむことによって、ある一定の圧力を気道にかける方法。
平成24年9月8日
(文責) 平沼クリニック 大畑 充