熱中症にご用心!

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地球温暖化や、熱エネルギーを産生する電化製品などの使用の増加に伴って、年々気温が上昇してきています。また昨年度は夏の異常気象で、熱中症による死亡者数が、著明に増加しました(図1)。さらに今年は、電力事情により、節電が必要となり、熱中症に対する対応が益々重要となると考えられます。

熱中症の死亡者数

1.熱中症とは?
高温の環境にさらされたり、運動などによって、体の中でたくさんの熱を作ることによって、体温調節が不良となり、体の不調をきたす病気です。熱中症は気温の高い夏季に発生が集中しており、重症になると死に至る危険性の高い病気ですが、予防法を知っていれば防げますし、応急処置を知っていれば救命できます。原因は①熱波により高齢者に起こるもの。②幼児が高温環境で起こるもの。③暑熱環境での労働で起こるもの。④スポーツ活動中に起こるもの、などがあります。また熱とともに、筋肉障害や脱水の影響も大きいことが特徴です。

2.熱中症はどうして起こるのでしょうか?
もともと私たち人間は皮膚によって体内の熱を空気中へ放出したり、汗をかいて、その汗が蒸発する時に外気が熱を奪ってくれることによって、体温調節をおこなっています。
しかし気温が高くなると、皮膚から空気中へ熱の放出が難しくなり、さらに湿度が高くなると、汗の蒸発も少なくなり、発汗による体温調節もできなくなり、熱中症を発症します(図2)。特に体温調節機能が低下している高齢者や体温調節機能がまだ十分発達していない子供に発生しやすいことが特徴です。

熱中症はどうして起こるの?

3.熱中症はどのような時に起こりやすいのでしょうか?
熱中症が起こるかどうかは環境と身体の調子によります。環境としては高温・多湿、風が弱い、日差しが強い場合に起こりやすく、身体の調子としては激しい運動や労働で、身体に過剰な熱が産生されたり、脱水状態、高齢者、肥満、普段から運動をしていない人、暑さに慣れていない人、心臓疾患、糖尿病、広範囲の皮膚疾患などの病気のある人に発症しやすいと言えます。図3はWBGT(Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度(単位:℃))と気温、湿度との関係です。

WBGT湿球黒球温度(単位:℃))と気温、湿度との関係

(日常生活における熱中症予防指針(日本生気象学会)より抜粋)

WBGT は本来、労働環境において作業者が受ける暑熱環境による熱ストレスの評価を行う簡便な指標です。暑熱環境を評価する場合には、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮して総合的に評価する必要があり、WBGT はこれらの基本的温熱諸要素を総合したものとなっていますが、かなり複雑です。図3で示したWBGT 値はその日の最高気温時の気温と湿度から推定されるものとして示してあります(ここで28~31℃は28℃以上31℃未満の意味)。最高気温時の気温と湿度からWBGT 値を測定し、「危険」(31℃以上)、「厳重警戒」(28~31℃)、「警戒」(25~28℃)、「注意」(25℃未満)の4 段階に分けることができます。この4段階に対して、生活活動の目安と注意事項が、日常生活における熱中症予防指針(日本生気象学会)で、提唱されています(図4)。

日常生活における熱中症予防指針

4.熱中症の症状は?

熱中症の分類
熱中症の程度にもよりますが、軽症(Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる)では、こむら返り,立ちくらみ,四肢・腹筋の痙攣など(熱痙攣・熱失神)で、中等症(Ⅱ度:病院への搬送を必要とする)では、強い疲労感,めまい,失神,頭痛,嘔吐,下痢,体温上昇,皮膚蒼白,血圧低下,発汗などをきたします(熱疲労)。さらに重症(Ⅲ度:入院して集中治療が必要)では、38℃以上の高熱と脳障害(意識障害,せん妄)、肝・腎機能障害、血液凝固障害などをきたします(熱射病)(図5)。

5.熱中症の治療は?

熱中症を疑った場合の応急処置
応急処置としては、①休息:安静を保てる日陰へ運ぶ。衣服をゆるめたり、場合によっては脱がせる。②冷却:涼しい所で休ませる。必要に応じて冷却する。③水分補給:意識がはっきりしている場合に限り、水分補給を行う。意識障害や吐き気があれば点滴が必要。
また明らかな熱中症と考えられたら、病院へ搬送することが重要です。診断の上、点滴などを行い、意識障害があれば、至急救急車で搬送します。発症後20 分以内に体温を下げられれば、かなりの確率で救命できると考えられます(図6)。

図6 熱中症を疑った場合の応急処置 [外部リンク]
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual/2-3.pdf
熱中症環境保健マニュアル(環境庁)から抜粋

6.熱中症の予防は?
①熱中症について知っておく事、②暑い時、暑い所で運動しない事、③急な暑さ、湿度は要注意、④失った水分と塩分は補充する事、⑤服装は薄着で、⑥体調不良、睡眠不足、二日酔いでは無理しないこと、⑦具合が悪くなったら応急処置、です。

文責 大畑 充

カテゴリー: 医療全般   タグ:   この投稿のパーマリンク

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