『脳梗塞の予防ーかくれ脳梗塞の話ー』(片山先生)平成会講演・平成24年12月1日から

  平成会講演・『脳梗塞の予防ーかくれ脳梗塞の話ー』 片山副院長の講演のスライドの一部を掲載します。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『いびき、眠気!それは睡眠時無呼吸症候群かも!?』(平成会講演・平成24年9月8日から)

1.睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは?:
睡眠中に無呼吸状態(10秒以上の呼吸が停止すること)が1時間あたり5回以上繰り返される病気で、いびきや昼間の眠気、熟睡感がない、起床時の頭痛などの症状を伴います。SASは生活習慣病と密接に関係しており、放置すると心疾患や脳血管疾患などの危険性が高くなり、生命に危険が及ぶことがあります。人口の2~3%程度存在すると言われ、稀な病気ではありません。

2.睡眠時無呼吸症候群の症状
 ①睡眠中の呼吸停止、夜間の覚醒、いびき、熟眠感の欠如
 ②日中の強い眠気、集中力の欠如
 ③起床時の頭痛、インポテンツ など

3.睡眠時無呼吸症候群の原因
 ①肥満者に多い(70~80%)が、痩せている方でも起こる。
 ②舌の付け根や軟口蓋が、気道に落ち込んだり、首の周囲に脂肪が付いたり
   アデノイドや扁桃肥大など。
 ③顔が長く顎が小さい、顎が背中の方へ移動している、首が短いなど。

4.睡眠時無呼吸症候群の診断
 ①おおきなイビキ、起床時の頭痛、夜間の呼吸停止、日中に強い眠気などの症状があって、
   ②呼吸が10秒以上止まっている、または呼吸が止まらなくても呼吸の大きさが著しく低下
        している状態(AHI (Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数))が7時間睡眠中に30回以上、あるいは1時間当たり5回以上ある場合

 

 

 

 

 

5.睡眠時無呼吸症候群の検査

終夜睡眠ポリグラフにより、1時間あたりの無呼吸・低呼吸を調べて、診断・重症度を評価する。 

 6.睡眠時無呼吸症候群の治療
 1)生活習慣の改善
  ①減量 ②アルコールの節酒 ③精神安定剤・睡眠導入剤の制限 ④禁煙
 2)積極的治療
  ①軽症~中等症⇒スリープスプリント(マウスピース):下あごを前方に移
   動させ、舌根沈下による閉塞を軽くする。これにより、呼吸がしやすく
   なり、いびきも少なくなる。
  ②中等症~重症⇒CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法(nCPAP:nasal
   continous positive airway pressure):鼻に装着したマスクから空気を送
   りこむことによって、ある一定の圧力を気道にかける方法。

  

                                      平成24年9月8日
                                     (文責) 平沼クリニック 大畑 充

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「健康は宝なり、正しい知識と工夫で健康づくり!」(平成会講演・平成24年3月3日から)

    人間、望むことは多いのですが、おそらく人生で最も大切なものの一つが「健康」ではないでしょうか?色々と行いたいことはありますが、健康でなければできないことが多いものです。そういった意味ではまさに「健康は宝」です。それでは、「健康である」というのは一体どういうことでしょうか?健康の定義は様々にありますが、世界保健機構(WHO)の憲章では、「健康とは、身体的、精神的ならびに社会的に完全に良好な状態にあることであり、単に病気や虚弱ではないことにとどまるものではない。到達しうる最高度の健康を享受することは、人種、宗教、政治的信念、社会・経済的条件のいかんにかかわらず、全ての人類の基本的権利の一つである」ですが、少し硬く、難しい言葉です。この定義をさら広げた概念で1961年にアメリカの公衆衛生学の権威・ハルバート・ダン博士提唱したのが、「ハイレベルウェルネス」で「輝くように生き生きしている状態」と定義しました。事実、米国疫学学会の発表では、自分は健康だと前向きに考えて、毎日を送っている人ほど、いきいきと、元気で長生きをしていることが明らかとなりました(図1)。つまり健康とは心も身体も健やかで、楽しく暮らせるということだと考えます。    

    健康を守るためには、健康に対する正しい知識と、健康を維持するための工夫が必要ですが、その健康を脅かすものには(1)身体の健康を脅かすもの(①生活習慣病(メタボリックシンドローム⇒心血管・脳血管疾患)、②がん、③その他の病気)と、(2)心の健康を脅かすもの(うつ病などで、自殺者は年間3万人以上で交通事故死より多い)があります。今回はこの中の生活習慣病の最たるものである、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)の治療に注目しました。生活習慣病の中の病気が1つも無い方の冠動脈疾患の危険性を1.0としますと、生活習慣病がいくつか合併すると、図2のように冠動脈疾患の危険性は増加します(図2)。

    各疾患の治療目標を図に示します。高血圧は九州大学による久山町調査では、140/90mmHgを超えると脳卒中の危険性が急速に増加すると報告しています。現在の高血圧の治療目標は図3の通りです(図3)。  

   また糖尿病の治療目標は日本糖尿病学会の基準がありますが(図4)、HbA1cを低下させると、微小血管の動脈硬化にはかなり予防効果がありますが、心血管・脳血管疾患の予防には十分ではなく、そのためには単純にHbA1cを低下させるだけではなく、同時に血糖値の変動幅を少なくし、低血糖を予防することが重要であるという考え方も提唱されてきています。またこれまでHbA1c値は現在日本糖尿病学会(JDS)の基準値で示しておりますが、2012年4月1日から、国際基準値(NGSP)へと変更となります。これに伴って現在のHbA1cの値に約0.4%を加えた値が国際基準値となります。  

    脂質異常症(高脂血症)の治療の目標は、基本的には図5に示すように各疾患の既往・危険因子合併によって、異なります。LDL値は下記の図5を目標として、HDL値は40mg/dl以上、中性脂肪値は150mg/dl以下を目標とします(図5)。また最近、動脈硬化を進める悪玉LDL値と動脈硬化を予防する善玉HDL値の比も注目されており、合併症の無い方はLDL/HDL比は2.0以下、冠動脈疾患、高血圧、糖尿病などを合併する場合にはLDL/HDL比は1.5が望ましいとの考え方もあります。

   これまでの生活習慣を見直して1に適度な運動、2に食事に気をつけ、3に適量の飲酒と禁煙、さらに必要な場合には薬による治療で、健康的な生活を送りましょう!そして心の持ち方も健康には重要です。 平成24年3月3日 平沼クリニック院長 大畑 充

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

                     平沼クリニック院長 大畑 充

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インフルエンザとその予防、今年流行のマイコプラズマ肺炎とRSウイルス感染症

1.インフルエンザの動向
 2009年に世界的に大流行した「新型インフルエンザ」は、2010年には終息を見せ、通常の季節性A型インフルエンザが優勢になりました。しかし2010年末から2011年6月頃まで、再び新型インフルエンザ(2011年3月に様々な規制のある「新型」という名称は廃止され、インフルエンザ(H1N1)2009と変更され、季節性インフルエンザと同等に扱われることになりました)が優勢となり、その後はB型インフルエンザが優勢となってきております(図1)。新型インフルエンザは世界中で多くの死亡者を出しましたが、日本は最も死亡者が少ない国の一つであり、その要因は①早期に抗インフルエンザ薬による治療が行われたこと(他の国では重症化してから投与された例が多い)、②国民皆保険などの医療制度の良さ、③手洗い、マスク着用、ワクチンなどの予防策をきちんと実行した国民の意識の高さ、④学級閉鎖の効果であると考えられます。 2.インフルエンザとその種類                                                                                                                                                                                        インフルエンザは通常の風邪(急性上気道炎)とは症状はやや異なり、突然の発熱、頭痛、関節痛、全身倦怠感などの全身症状を伴うことが特徴的です。これからの時期、突然に高熱が出現した場合には早めに医療機関を受診しインフルエンザの検査を受けることをお勧めします。インフルエンザにはA型、B型、C型の3種類はありますが、新型インフルエンザはこのうちA型に属します(図2) 

   3.インフルエンザの診断、治療、予防

1)インフルエンザの診断:インフルエンザの診断は①臨床症状(突然の発症、38℃を超える発熱(ただしインフルエンザ(H1N1)2009は、高熱を呈さないこともあります)、風邪様症状、頭痛、関節痛などの全身症状)②迅速インフルエンザ診断キット(口や鼻からぬぐい液を採取して15分程度で結果がでます)、血清抗体価、ウイルス分離・同定、PCR法(遺伝子の検査)等がありますが、迅速キットが最も一般的に行われている診断方法です。

2)インフルエンザの治療:治療は①一般的対症療法(安静と睡眠、水分補給、部屋の保湿と加温、解熱剤(アセトアミノフェンが比較的安全)の投与、風邪様症状に対する投薬)と②抗インフルエンザ薬(経口剤のタミフル、吸入薬のリレンザ(ともに5日間投与)があり、近年これらに加え、注射薬のラピアクタ(1回注射のみ)、吸入薬のイナビル(1回の吸入のみ)が使用されています)。

 3)インフルエンザの予防:インフルエンザの予防は帰宅時のうがい、手洗い、流行前のワクチン接種、適度な湿度の保持、十分な休養と睡眠が重要です。

 4.マイコプラズマ肺炎とは? マイコプラズマ肺炎は肺炎マイコプラズマを病原体とする肺炎で、今年は大流行しており、2000年以降の定点観測で過去最高の感染者数を記録しています。潜伏期間は2~3週間と長く、症状は発熱、全身倦怠、頭痛などの後、3~5日後より乾性の咳が増強し、解熱後も1か月近く咳が続きます。診断は特異的IgM抗体迅速検出キット、血清抗体価、PCR法などがあります。治療はマクロライド系抗生剤を使用しますが、近年耐性菌も出現してきており、その場合には別の抗生剤の投与も考慮します(図3)。 

 

5.RSウイルス感染症とは? RSウイルス(respiratory syncytial virus)による感染症で、5歳以下の小児の感染がほとんどで、今年は大流行しています。潜伏期間は2~8日、症状は発熱、鼻水から、次第に咳や痰が多くなってきます。基礎疾患を有する小児では重症化しやすいので要注意です。診断は迅速抗原検出キット、血清抗体価、ウイルスの分離・同定などがあります。ワクチンや有効な治療法はなく、現在、重症化を抑制する唯一の薬剤として、RSウイルスに対し特異的な中和活性を示すモノクローナル抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)の予防投与が考慮されています(対象となる患者は限定されています)。

 6.肺炎球菌ワクチンの薦め  高齢者の肺炎の原因で最も多い肺炎球菌(肺炎の原因の約40%)に有効なワクチンです。しかし肺炎球菌以外の肺炎には効果がないので、すべての肺炎を予防できるわけではありません。現在日本人の死亡原因の4位が肺炎であり、近年では、ペニシリンなどの抗生物質が効きにくい肺炎球菌(耐性菌)が増加しており、このような耐性菌にもこのワクチンは有効です。またこのワクチンには予防効果とともに、肺炎になっても軽症ですむむという効果もあり、1回接種で約5年間は有効です(対象は65歳以上の方です)。文責:大畑 充

 

 

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早めに発見、早めに治療ー今どきの癌のお話しー ~胃がんとピロリ菌の話も含めて~

  日本人の死亡原因の約3分の1は癌(悪性腫瘍)、また約3分の1が生活習慣病による動脈硬化から生じた心臓・脳血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)であり、この2つが死因の60~70%を占めます。従って健診の大きな目的は、がん検診と高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の早期発見にあると言って過言ではありません。癌の早期発見には、各種がん検診が有用で、40歳以上の年代では、胃癌健診、大腸癌健診、肺癌検診、さらに男性では前立腺癌検診、女性では乳癌健診、子宮癌健診などが行われています。
  財団法人がん研究振興財団資料(図1)では2009年度の日本人の癌による死亡数は男性では肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌の順(ただし癌に罹患する率は胃癌が最も多く、大腸癌、肺癌の順)であり、女性では大腸癌、肺癌、胃癌、膵臓癌、乳癌の順(癌に羅患する率は乳癌が最も多く、大腸癌、胃癌の順)です。


  2005年3月から2011年10月までの6年8ヶ月間で平沼クリニックで発見された癌患者は209名でした。その中で最も多かった癌が胃癌で53名(早期胃癌42名、進行胃癌11名)、その次に多かったのが大腸癌で30名(早期癌16名、進行癌14名)でした。胃癌は胃レントゲンや胃内視鏡で比較的早期に発見されることが多く、早期で発見された胃癌の約60~70%の患者さんは手術せずに、内視鏡で治療が可能でした。一方大腸癌の約半数は進行癌でした。便潜血反応は有用な検査であり、大腸癌による死亡率を低下させると報告されていますが、やはり症状がある場合には大腸内視鏡検査を受ける事が大切です。以下肺癌25名、乳癌19名、前立腺癌16名、膵臓癌10名、膀胱癌10名、肝臓癌7名、食道癌7名(早期癌4名、進行癌3名)腎臓癌6名、甲状腺癌6名、その他の癌20名でした。肺癌は胸部X線での診断はなかなか困難であり、胸部X線検査で僅かでも異常があった場合には胸部CT検査が有用です。乳癌は触診はもとより、マンモグラフィーによる乳癌検診が最も有用です。前立腺癌は、血液による検診(PSA検査)により、異常値を示した患者さんを専門の泌尿器科に紹介して発見される例がほとんどでした。膀胱癌、肝臓癌、腎臓癌、甲状腺癌はほとんどが超音波検査(エコー)で発見されました。10年前に比べて男女とも死亡数が非常に増加している膵臓癌はやはり、超音波検査で発見されることがほとんどですが、症状がなかなか出ず、また進行が速いため、早期で発見する事は極めて困難でした。食道癌は全例定期的な胃内視鏡検査で発見され、半数が早期で発見されており、4例中3例は内視鏡的切除により治癒しております。

  癌の原因として、様々な物質がありますが、B型およびC型肝炎ウイルスと肝臓癌、喫煙と肺癌との関連は有名ですが、最近胃の中に住んでいるピロリ菌(ヘリコバクタ・ピロリ菌)と胃癌の関係が注目されています。もともとピロリ菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因として有名です。ピロリ菌は大きさが約1ミリの250分の1程度の細菌で、らせん状の形をし、4~8本のべん毛を持っています。通常の細菌は胃液の中の胃酸のため生きていることは出来ません。しかしこのピロリ菌は「ウレアーゼ」とうい酵素を持ち、胃に中にある尿素という物質からアンモニアを産生します。アンモニアはアルカリ性なので、胃酸を中和して自分の周囲を中性に近い状態にして生き延びているのです。ピロリ菌はアンモニアを産生したり、様々な有害物質を産生して胃粘膜を傷害します。
  ピロリ菌の感染率は年代とともに上昇し、20歳では20%、40歳では40%、60歳以上では約70~80%といわれています。また発展途上国で高く、日本の感染率は先進国の中ではかなり高率です。感染経路は経口感染がほとんどで、口から口への感染(食べ物を子供に、口移しで食べさせる時の感染が多い)が重要な感染源です。また井戸水からの感染や、ゴキブリなどが媒介する可能性もあります。さらに胃癌や過形成ポリープとの関連も指摘されています。実際にピロリ菌感染者はピロリ菌非感染者に比べて胃癌の発病率は約3倍との報告もありますし、またピロリ菌の除菌により慢性胃炎が改善したり(図3:平沼クリニックの患者さんの胃内視鏡所見です)、胃のポリープ(過形成性ポリープ)が消失したという報告も沢山あります(図4:平沼クリニックの患者さんで実際に除菌によってポリープが消失した例)。ピロリ菌が感染しているかどうかは内視鏡で行う検査(胃の中の組織を取って、検査液で反応をみたり、顕微鏡で確認する)や尿素呼気反応(尿素の入った液を服用して、呼気中にピロリ菌と反応した物質を測定する方法)、血液や尿の抗体を測定するなど様々な方法があります。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者さんでピロリ菌が検出されたら除菌すべきと思います。

  除菌は胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害剤)1種類と抗生剤を2種類(アモキシリン、クラリスロマイシン)を1週間服用するのみで、除菌の成功率はおおよそ70~80%程度です。1回目の除菌で除菌できなかった場合には別の方法(プロトンポンプ阻害剤1種類と、アモキシリン、メトロニダゾールを1週間服用)があり、この方法での除菌率は約90%程度です。一度除菌されれば再感染は極めて少なく、約1~2%程度の再感染率と報告されていますが、成人になってからの感染はあまり問題にならないと考えられています。除菌の副作用は発疹、下痢、味覚障害、肝障害などですが、重篤なものはそれほど多くはありません。除菌が成功した場合には潰瘍の再発率は極めて低くなり、また胃癌の発生を抑えると考えられています。
 癌は早期に発見すれば、治療可能な場合がほとんどです。日本人の死亡原因の3分の1を占める癌を早期発見するために、がん検診を受けることをお勧めします。  文責:大畑 充

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