食事・運動・社会参加でイキイキ健康生活を目指しましょう!(平成28年3月12日 平成会総会講演から)

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 昨年の平成会総会の講演でもお話ししましたように、日本人の平均寿命は80歳を超えて、女性は86.61歳(世界1位)、男性は80.21歳(世界4位)となりました。しかし世界諸国と比べて、健康寿命(実際上の病気の有無に関わりなく、介護を受けたり寝たきりになったりせず、活動性の高い状態で日常生活を送れる期間)は、それほど突出して高いわけではありません(図1)。日本人の健康寿命は図2に示しますが、2013年のデータでは平均寿命と健康寿命の差は男性では9.02歳、女性では12.4歳の差があり、この間介護生活を送ると推測されます(図2)。イキイキとした健康生活を送るためには、この健康寿命を延ばすことが重要です。

 それでは健康寿命を延ばし、イキイキとした健康生活を送るためには、何が必要でしょうか?平成会はすでに発足から28年を迎えますが、これまで様々な活動から、食事と運動により、健康な生活を送ることを目指してまいりました。健康な生活を送るためには、上記のごとく、食事と運動が重要なことはすでに明らかです。さらに近年、社会参加が死亡率や認知症の発症率を低下させることが報告されています(図3)。

 平山らは(平山朋,他(2012)静岡県高齢者コホート調査に基づく運動・栄養・社会参加の死亡に対する影響について.第58回東海公衆衛生学会)、静岡県の高齢者14,001人の約9年間の追跡調査を行い、社会活動が運動などと同様に、死亡率の低下に影響していると報告しています(図4)。

 また海外の報告でも、65歳~95歳の男女356人の6年間の追跡調査で、社会活動が糖尿病や慢性閉塞性肺疾患の発症予防となる可能性ありと報告(Strawbridge WJ, at al. (1996) Successful aging: predictors and associated activities. Am J Epidemiol, 144(2): 135-141)されています。さらに認知症発症に関しても、732名の地域在住高齢者を6.4年間追跡調査し、社会活動が認知症の発症の予防効果を示した(Wang HX,at al.(2002) Late-life engagement in social and leisure activities is associated with a decreased risk of dementia: a longitudinal study from the Kungsholmen project.Am J Epidemiol, 155(12): 1081-1087)と報告されています(図5)。

 一方、静岡県の9年間の追跡調査(静岡県高齢者コホート調査)も報告されております。平成11年から、県内の高齢者14,001人を対象に生活習慣や社会参加状況などに関する追跡調査を行っています。その結果によると、運動・栄養・社会参加について良い習慣がある人は、長生きであることが分かっています「ふじのくに健康長寿プロジェクト」から引用(静岡県公式ホームページ)(図6)。

 健康生活を送るためには、昨年お話ししました「フレイル」(年齢に伴って、筋力や心身の活動の低下した状態)から脱却する事が重要です。高齢者の多くはこの「フレイル」の状態を経て介護状態になります。一旦介護状態になりますと、元の健康な状態に戻る事は困難です。「フレイル」は介護状態にならないように予防が必要な人と考えられ、日本では65歳以上の方の約11%、約300万人が「フレイル」の状態と想定されています(図7)。

 フレイルになるということは、自立した生活ができなくなったり、認知症を発症し、他者に介護を受けるようになることですが、これは運動を継続することでも、予防可能です。図8に示しますように、運動を継続することで、生活の自立度がアップし、認知症の発症率が50%に減らすことができたとの報告があります(図8)。

 そして「フレイル」は図9に示すような経過を経て、次第に介護状態となっていくわけですが、この経過の様々な点で社会参加をすることで、フレイルへの移行を遅らせることが可能です。

 このように、様々なデータから、食事・運動・社会参加によって、フレイルを予防し、イキイキとした健康生活を送ることが可能と思われます(図10)。

 

 様々な形で社会参加を実践することは、人と接する機会を増し、活動性の低下の予防、体力・筋力の低下を防止し、フレイルの悪循環を防ぎ、ひいては判断力の低下、認知症の予防となります。皆さん、積極的に様々な社会参加を行って、イキイキ健康生活を目指しましょう!(図11)。

                     平成28年3月12日

                   (文責:平沼クリニック院長 大畑 充)

 

 

 

 

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