お酒とうまく付き合う方法

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人間とお酒とは人類が始まって以来の長い付き合いです。お酒はうまく付き合えば健康にも役立ちますが、適量を超えて飲酒を続けると、肝臓病や生活習慣病をはじめとして、様々な疾患の原因となったり、アルコール依存症などの問題を呈します。お酒とはうまく付き合っていきましょう。

1.お酒の功罪

【功】適量であればストレスを軽減してリラックスを与える。また動脈硬化を予防する。

食欲増進作用。

【罪】判断力の低下。慢性飲酒では、肝臓をはじめとする様々な臓器を傷害する。またアルコール依存を形成する。

 

2.増加するお酒の消費量:

日本人のお酒の年間消費量は年々増加しています。1965年から1990年までには約2倍に増加しています。欧米では現在減少傾向にあるにも関わらず、日本ではその後も徐々に増え続けています。いわゆる先進国で増え続けているのは日本だけです。また女性の飲酒者が増えてきています。一日5合以上飲酒する「大量飲酒者」数は約250万人存在するといわれております。

 

3.どうして「二日酔い」になるのでしょうか?

ついついお酒を飲み過ぎて、翌日頭痛や吐き気で困った経験は誰にでもあるでしょう。それではどうしてこういった「二日酔い」がおこるのでしょうか?その原因は飲んだアルコールが肝臓で処理されてできる「アセトアルデヒド」という毒性の強い物質のためです。アルコールは体の中に入ると胃や腸で吸収され90%は肝臓へ運ばれます。肝臓に運ばれたアルコールは酵素(アルコール脱水素酵素)で分解されてアセトアルデヒドとなり、この物質が体内に多くなると頭痛や吐き気といった症状が出るわけです。またアルコール自体やアルコール飲料に含まれる添加物も二日酔いに影響しています。

 

4.お酒に強いか弱いかは遺伝子で決まる!

お酒を飲むと顔が赤くなるけれど、結構飲める、という人がいますが、こういう人は

本当に「お酒に強い」と言えるのでしょうか?日本人の中にはお酒を飲んでも全く顔が赤くならない人(A)が約50%います。赤くなるが飲めるという人(B)が約45%、全く飲めず、少しでも飲むと動悸・頭痛・吐き気が出る人(C)が約5%います。この体質は両親からもらった遺伝子で決まります。すでにお話した毒性の強い「アセトアルデヒド」という物質を肝臓で分解してくれる酵素(アルデヒド脱水素酵素2:ALDH2)の働きによって赤くなるかどうかが決まるのです。Aの人は両親から2つともアルデヒドを良く代謝するALDH2の遺伝子を受け継いだ人、Bは片方の遺伝子が代謝の良い遺伝子でもう一方が代謝の悪い遺伝子の人、Cの人は幸か不幸か?2つとも代謝の悪い遺伝子を受け継いだ人です。Aは普通に飲めますが、Cの人は訓練しても飲めるようにはなりません。Bは赤くなるが飲め、さらに鍛錬?によって強くなれます。しかしこのBのタイプの人は飲みすぎるとAのタイプより肝臓を壊しやすいことがわかっています。

 

5.アルコール性肝臓病の進展

アルコール性肝臓病は、アルコール性脂肪肝→アルコール性肝線維症→アルコール性肝硬変と進展していきます。脂肪肝は肝臓内に中性脂肪が大量に貯まった状態で、禁酒によりほとんど完全に治癒します。線維症は、肝臓内に線維が貯留した状態で、飲酒を継続すると肝硬変へ進展しますが、禁酒すると改善します。肝硬変は、肝臓病の末期の状態で、腹水や黄疸などが出現したり、食道静脈瘤が破裂したり、肝臓癌などが合併したり生命に関わる状態となります。しかし禁酒を続けることで、ある程度改善します。

 

6.飲み過ぎには注意を(γGTPを一つの参考に)!

お酒に強い人でも飲み過ぎれば肝臓を壊します。肝臓でのアルコール処理能力には限界があり、日本酒1合(ビールなら大ビン1本、ウイスキーならダブルで1杯)を代謝するのに約3時間かかります。もし4~5合を夜遅くまで飲んでしまったならば、代謝するのに翌日の昼過ぎまでかかってしまいます。肝機能検査のひとつのγGTPは一般的に飲酒量とともに高くなってきます。体質的に高くなりやすい人と、そうでない人がいますが、いずれにしても男性なら100以下、女性なら50以下にするように心がけてお酒を飲みたいものです。また女性ホルモンはアルコールの分解を抑える働きがあるので女性は男性より少量の飲酒で肝臓を壊してしまうのでご注意を。一般的には時々付き合いなどで飲みすぎても、普段は1日2合以内、週に1~2回の休肝日を作れば、大丈夫なはずです。またお酒を飲む時には、すきっ腹で飲まないこと、脂肪を控えて、良質のタンパク質を取りながら、ビタミン、ミネラルの多い野菜を取って飲むことが上手な飲み方です。楽しく、体を壊さない飲酒がうまく「お酒と付き合う方法」です。

文責:大畑 充

カテゴリー: 肝臓のお話し   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

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