脳の動脈硬化の予防

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脳梗塞の重要な原因のひとつに動脈硬化があります。高齢化や生活様式(とくに食生活)の欧米化などに伴い,動脈硬化の重症化,若年化が問題視されており,とくにメタボリック症候群と呼ばれる高血圧症,高脂血症,糖尿病,肥満によってその進行は早まります。動脈硬化の初期は自覚症状がないまま潜やかに血管を蝕んでいきます。脳梗塞,心筋梗塞,下肢動脈閉塞,眼底出血などの症状がみられてからでは手遅れです。
動脈硬化の予防には生活習慣の改善が有効で,とくに血圧管理が大切と考えられています。そのためには日常から動脈硬化の早期発見,早期治療を心がける必要があります。

1.脳梗塞にいたる動脈硬化には
・アテローム(粥状)硬化
・細動脈硬化の二つがあります。アテローム硬化では大動脈や頸動脈などの太い血管の内腔に血栓(悪玉コレステロールが一因)が作られ狭くなります。アテローム硬化の程度を知る検査にはキャビや頸動脈エコーがあります。いずれも簡便に短時間で頸部や四肢の血管年齢(血管壁の厚さ,しなやかさ,詰まり具合)が判明します。
細動脈硬化では脳や網膜(眼底)の細い血管が硬くなり,伸縮性が失われ血管閉塞や出血の原因になります。細動脈硬化を知る検査として眼底検査があります。網膜の細い血管を観察でき,また時に眼底出血の有無を確認します。これは脳深部の細い血管の状態を知る手掛かりになります。

2.脳梗塞の前兆として

一過性脳虚血(手足の麻痺やしびれ,呂律不良などが一時的ですぐに回復する脳梗塞の前段階)

かくれ脳梗塞(無症状ですが,脳 CTや MRIの検査で偶然みつかる小さな脳梗塞)に注意する必要があります。とくに一過性脳虚血を経験した 20-40%の人が将来,脳梗塞に進行しますので,できる限り早めの診察,そして予防(薬物療法)が必要です。また,無症状であっても脳梗塞の危険因子(男性 >女性,家族に脳卒中がいる,高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙,肥満,心房細動など)がある場合,定期的に脳の検査( CTまたは MRI)をお勧めします。かくれ脳梗塞が多発すると将来,脳出血や認知症の原因となります。

3.脳梗塞の予防には

・定期的な健康診断
・生活習慣の改善

自分の健康状態(血管年齢など)を把握し,自己管理(血圧測定など)を怠らないように心がける必要があります。同時に禁煙,食生活の工夫,ストレスや過労・睡眠不足をできる限り避ける,便通を良くするなど健康的な日常生活への環境作りも大切です。
残念ながら動脈硬化は 10歳代からはじまり,自覚症状のないまま加齢とともに進行します。メタボはその進行スピードを加速させるので糖尿病,高血圧,高脂血症などの病気の治療とともに共通の基盤である内臓脂肪を減少させることが大切です。
一般に内臓脂肪は比較的容易にエネルギーとして燃焼する特徴があるため,日常の食事や運動を心掛ければ内臓脂肪を減少させることは十分に可能です。現体重またはウェスト周囲径のマイナス 5%を目標に 3~6ヶ月かけて緩やかな減量を継続していきましょう。
メタボにならない秘訣として①バランスの良い食事と腹八分目 ②日常的に運動を継続 ③禁煙④ウェスト日記(体重日記)などおすすめします。
とくに食事日記によって食習慣を確認して問題点(カロリー,脂肪分,塩分など)を具体化するとより効果的です。内臓脂肪がたまりやすい食事(高脂肪食,高ショ糖食,高カロリー食,低線維食)を控えて薄味,お酒も控え目が良いでしょう。
毎日できる運動としてウォーキング(少し早歩き)がおすすめです。習慣的に続けることが重要で1日2割の歩数アップを目安に徐々に増やして1日1万歩を目指しましょう。なるべく乗り物を控えて通勤時間を運動時間として利用しましょう。
ウェスト日記は減量の意識改革と努力継続に役立ちます。ウェスト径の減少に成功すれば,達成感が得られメタボ解消のやる気が高まります。

文責:片山 晃

カテゴリー: 脳のお話し   タグ: ,   この投稿のパーマリンク

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