「健康は宝なり、正しい知識と工夫で健康づくり!」(平成会講演・平成24年3月3日から)

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    人間、望むことは多いのですが、おそらく人生で最も大切なものの一つが「健康」ではないでしょうか?色々と行いたいことはありますが、健康でなければできないことが多いものです。そういった意味ではまさに「健康は宝」です。それでは、「健康である」というのは一体どういうことでしょうか?健康の定義は様々にありますが、世界保健機構(WHO)の憲章では、「健康とは、身体的、精神的ならびに社会的に完全に良好な状態にあることであり、単に病気や虚弱ではないことにとどまるものではない。到達しうる最高度の健康を享受することは、人種、宗教、政治的信念、社会・経済的条件のいかんにかかわらず、全ての人類の基本的権利の一つである」ですが、少し硬く、難しい言葉です。この定義をさら広げた概念で1961年にアメリカの公衆衛生学の権威・ハルバート・ダン博士提唱したのが、「ハイレベルウェルネス」で「輝くように生き生きしている状態」と定義しました。事実、米国疫学学会の発表では、自分は健康だと前向きに考えて、毎日を送っている人ほど、いきいきと、元気で長生きをしていることが明らかとなりました(図1)。つまり健康とは心も身体も健やかで、楽しく暮らせるということだと考えます。    

    健康を守るためには、健康に対する正しい知識と、健康を維持するための工夫が必要ですが、その健康を脅かすものには(1)身体の健康を脅かすもの(①生活習慣病(メタボリックシンドローム⇒心血管・脳血管疾患)、②がん、③その他の病気)と、(2)心の健康を脅かすもの(うつ病などで、自殺者は年間3万人以上で交通事故死より多い)があります。今回はこの中の生活習慣病の最たるものである、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)の治療に注目しました。生活習慣病の中の病気が1つも無い方の冠動脈疾患の危険性を1.0としますと、生活習慣病がいくつか合併すると、図2のように冠動脈疾患の危険性は増加します(図2)。

    各疾患の治療目標を図に示します。高血圧は九州大学による久山町調査では、140/90mmHgを超えると脳卒中の危険性が急速に増加すると報告しています。現在の高血圧の治療目標は図3の通りです(図3)。  

   また糖尿病の治療目標は日本糖尿病学会の基準がありますが(図4)、HbA1cを低下させると、微小血管の動脈硬化にはかなり予防効果がありますが、心血管・脳血管疾患の予防には十分ではなく、そのためには単純にHbA1cを低下させるだけではなく、同時に血糖値の変動幅を少なくし、低血糖を予防することが重要であるという考え方も提唱されてきています。またこれまでHbA1c値は現在日本糖尿病学会(JDS)の基準値で示しておりますが、2012年4月1日から、国際基準値(NGSP)へと変更となります。これに伴って現在のHbA1cの値に約0.4%を加えた値が国際基準値となります。  

    脂質異常症(高脂血症)の治療の目標は、基本的には図5に示すように各疾患の既往・危険因子合併によって、異なります。LDL値は下記の図5を目標として、HDL値は40mg/dl以上、中性脂肪値は150mg/dl以下を目標とします(図5)。また最近、動脈硬化を進める悪玉LDL値と動脈硬化を予防する善玉HDL値の比も注目されており、合併症の無い方はLDL/HDL比は2.0以下、冠動脈疾患、高血圧、糖尿病などを合併する場合にはLDL/HDL比は1.5が望ましいとの考え方もあります。

   これまでの生活習慣を見直して1に適度な運動、2に食事に気をつけ、3に適量の飲酒と禁煙、さらに必要な場合には薬による治療で、健康的な生活を送りましょう!そして心の持ち方も健康には重要です。 平成24年3月3日 平沼クリニック院長 大畑 充

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

                     平沼クリニック院長 大畑 充

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